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【新常識】健康診断で肝臓の数値が…それ、放置は危険!「脂肪肝」の最新知識

【新常識】健康診断で肝臓の数値が…それ、放置は危険!「脂肪肝」の最新知識「MASLD」を徹底解説…さらに新分類「MetALD」

「健康診断の結果を見て、肝臓の数値にドキッとした…」
「最近なんだか疲れやすい。お酒はそんなに飲まないのに、なぜ?」
そんな経験はありませんか?
もしかしたら、それは「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓からの静かなSOSかもしれません。その正体は、日本人の3〜4人に1人が抱えているとも言われる「脂肪肝」です。
「脂肪肝って、太っている人やお酒好きの人の病気でしょ?」——そう思っているなら、ぜひこの記事を読み進めてください。実は、その常識はもう古いかもしれません。
2023年、脂肪肝の呼び方や定義が世界的に大きく見直され、「MASLD(マスルド)」という新しい考え方が標準となりました。 これは、痩せている人やお酒をあまり飲まない人にも無関係ではない、非常に重要な変化です。

この記事では、最新の研究に基づき、以下の点をどこよりも分かりやすく解説していきます。
そもそも「脂肪肝」ってどんな状態?
なぜ「NAFLD」から「MASLD」に名前が変わったの?
新しい常識「MASLD」とは?あなたも当てはまるかチェック!
放置するとどうなる?脂肪肝の恐ろしい末路
今日からできる!脂肪肝の改善・予防策
(※本記事は、論文「脂肪性肝疾患(Steatotic liver disease: SLD) のパラダイムシフト: NAFLD から MASLDへ」の内容を参考に、専門的な情報を分かりやすく解説したものです。)

そもそも「脂肪肝」ってどんな病気?

脂肪肝とは、その名の通り「肝臓に脂肪(主に中性脂肪)が過剰に蓄積した状態」です。
美味しい高級食材「フォアグラ」を想像してみてください。あれは、ガチョウやアヒルにたくさんエサを与えて、肝臓を人工的に脂肪肝にしたものです。人間の肝臓でも、食べ過ぎや飲み過ぎによって同じような状態が引き起こされます。
通常、肝臓に含まれる脂肪の割合は5%程度ですが、脂肪肝では30%以上が脂肪で占められてしまうこともあります。
初期の脂肪肝には、ほとんど自覚症状がありません。これが「沈黙の臓器」と呼ばれる所以です。しかし、静かに、そして確実に肝臓を蝕んでいく、決して侮れない病気なのです。

なぜ名前が変わったの?「NAFLD」から「MASLD」へのパラダイムシフト

これまで脂肪肝は、大きく2つに分けられていました。
アルコール性脂肪性肝疾患(AFLD): 明らかに飲み過ぎが原因のもの。
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:ナッフルディー): アルコール以外の原因(肥満、糖尿病、脂質異常症など)によるもの。
しかし、この「NAFLD」という呼び方には、いくつかの問題点が指摘されていました。

問題点①:「非アルコール」では原因が分からない
「アルコールが原因ではない」という否定的な定義では、病気の根本的な原因である「代謝機能の異常(メタボリックシンドローム)」が伝わりにくい。
問題点②:飲酒量の線引きが曖昧
「じゃあ、どれくらい飲むとアルコール性になるの?」という基準が曖昧で、少〜中等量の飲酒をする人が分類しづらい。
問題点③:「Fatty(脂肪の)」という言葉への配慮
「Fatty」や「Alcoholic」といった言葉が、肥満やアルコール依存症に対する差別的な印象(スティグマ)を与えかねない。
これらの課題を解決し、より病態を正確に反映するために、世界中の専門家たちが議論を重ね、2023年に新しい疾患名「MASLD(Metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)」が提唱されたのです。

日本語では「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患」と呼ばれます。 77この変更は、日本肝臓学会を含む世界の70以上の組織に支持されており、国際的なコンセンサスとなっています。


新しい世界の常識!「MASLD」とは?

MASLDの最大の特徴は、「〜ではない」という消去法的な診断(除外診断)ではなく、
「代謝機能の異常があること」を積極的に診断の根拠とする(組み入れ基準)点です。

具体的には、まず画像検査や血液検査などで「脂肪肝(Steatotic Liver Disease: SLD)」があることを前提とします。その上で、
以下の5つの心代謝系危険因子のうち、1つでも当てはまれば「MASLD」と診断されます。


【MASLD診断チェックリスト】

あなたの脂肪肝は、MASLDかもしれません。以下の5項目のうち、1つ以上当てはまりますか?
肥満
BMIが23以上(アジア人の場合)
または、腹囲が男性94cm以上、女性80cm以上
血糖値の異常
空腹時血糖値 ≧ 100 mg/dL
または、HbA1c ≧ 5.7%
または、2型糖尿病と診断されている・治療中である
血圧の異常
血圧 ≧ 130/85 mmHg
または、降圧薬(血圧を下げる薬)を服用中である
脂質の異常(中性脂肪)
血清中性脂肪値 ≧ 150 mg/dL
または、脂質異常症の治療中である
脂質の異常(HDLコレステロール)
血清HDL(善玉)コレステロール値が男性 ≦ 40 mg/dL、女性 ≦ 50 mg/dL
または、脂質異常症の治療中である
いかがでしたか? BMIが標準でも、血圧が少し高いだけでMASLDに該当する可能性があります。これまで「痩せているから大丈夫」と思っていた人も、他人事ではないのです。

【新設】お酒を飲む人のための新分類「MetALD(メット・エーエルディー)」

「MASLDの基準にも当てはまるけど、お酒も結構飲むんだよな…」という方向けに、新しいカテゴリーが作られました。それが「MetALD(Metabolic dysfunction-associated and increased alcohol intake)」です。

これは、MASLDの基準を満たし、かつ中等量以上の飲酒(男性:週210g〜420g、女性:週140g〜350g)がある場合に分類されます。 12 週210gのアルコールとは、ビールなら1日あたりロング缶1本(500ml)、日本酒なら1日1合程度に相当します。

代謝異常とアルコールの両方が肝臓にダメージを与えるため、特に注意が必要なグループと言えます。

「たかが脂肪肝」と放置は絶対ダメ!忍び寄る”肝臓病の三段跳び”

MASLDの本当に怖いところは、自覚症状がないまま静かに進行し、命に関わる病気へと進展していく可能性がある点です。この進行は、「脂肪肝 → 肝炎 → 肝硬変 → 肝がん」という”肝臓病の三段跳び”とも言えるプロセスを辿ります。
ステップ1:MASLD(単純性脂肪肝)
肝臓に脂肪が溜まっているだけの状態。この段階なら、生活習慣の改善で十分に正常な肝臓に戻れる可能性があります。
ステップ2:MASH(マッシュ:代謝機能障害関連脂肪肝炎)
溜まった脂肪が引き金となり、肝臓に炎症が起きて肝細胞が壊れ始めた状態です。以前は「NASH(ナッシュ)」と呼ばれていました。 放置すると、肝臓は徐々に硬くなっていきます。


ステップ3:肝硬変
炎症が長く続いた結果、肝臓が硬くゴツゴツになり、本来の機能を果たせなくなった状態。一度肝硬変になると、元の健康な肝臓に戻ることは極めて困難です。
ステップ4:肝がん
肝硬変の状態から、高い確率で肝がんが発生します。近年の日本では、ウイルス性肝炎が原因の肝がんは減少し、MASLDのような非ウイルス性の原因による肝がんが増加しています。
健康診断で「脂肪肝」や「肝機能異常」を指摘されたら、それはこの恐ろしいプロセスの入口に立っているというサインなのです。

どうすれば改善できる?今日から始めるMASLD対策プロジェクト

「もう手遅れかも…」と不安になった方も、ご安心ください。MASLD(特にMASHに進む前)は、生活習慣の見直しによって改善が期待できる病気です。特効薬に頼る前に、まずは食事と運動という2つの柱を立て直しましょう。

1.食事療法:何を減らし、何を摂るか

基本は「適切なカロリー摂取」と「栄養バランス」です。
減らすべきもの
糖質の多いもの:ご飯・パン・麺類の大盛り、甘い菓子パン、ジュース、果物の食べ過ぎ。特に果物に含まれる「果糖」は中性脂肪に変わりやすいので要注意。
脂質の多いもの:揚げ物、炒め物、脂身の多い肉、バターや生クリームをたっぷり使った洋菓子。
アルコール:MetALDやアルコール性肝障害のリスクがある方は、禁酒・節酒が必須です。
積極的に摂りたいもの
良質なタンパク質:脂肪の少ない赤身肉、鶏むね肉、魚、大豆製品(豆腐・納豆など)。肝臓の再生を助けます。
食物繊維:野菜、きのこ、海藻類。血糖値の急上昇を抑え、脂質の吸収を穏やかにします。
ビタミン・ミネラル:緑黄色野菜など。肝臓の働きをサポートします。
いきなり全てを変えるのは大変です。「夕食のご飯を半分にする」「お菓子をナッツに変える」「野菜スープを1品加える」など、できることから始めましょう。

2.運動療法:脂肪を燃やす習慣を

食事療法とセットで行うことで、効果は倍増します。
有酸素運動:内臓脂肪を燃焼させるのに効果的です。
例:ウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、水泳など。
目安:「少しきつい」と感じるくらいの強度で、1回30分以上、週に3〜5日。
筋力トレーニング:基礎代謝を上げて、太りにくく痩せやすい体を作ります。
例:スクワット、腕立て伏せ、腹筋など。
大きな筋肉(太もも、背中、胸)を鍛えるのが効率的です。
運動も「エレベーターを階段にする」「一駅手前で降りて歩く」といった”ながら運動”から始めるのが長続きのコツです。

3.薬物療法:最終手段としての選択肢

食事や運動で改善しない進行したMASHの場合、医師の判断で薬物療法が検討されることがあります。2024年には、米国でMASH治療薬として「レスメチロム」が初めて承認されるなど、治療の選択肢も少しずつ増えています。 14141414 ただし、あくまで基本は生活習慣の改善であることを忘れないでください。


まとめ:沈黙の臓器からのSOSを見逃さないで

脂肪肝の常識は、「NAFLD」から「MASLD」へと大きく変わりました。これは単なる名前の変更ではなく、「脂肪肝は代謝機能の異常という、全身に関わる問題のサインである」という重要なメッセージが込められています。
脂肪肝の新常識は「MASLD」。代謝異常が1つでもあれば該当する。
痩せていても、お酒をあまり飲まなくても、誰でもなる可能性がある。
放置すれば、肝炎・肝硬変・肝がんへと進行する恐れがある。
改善の鍵は「食事」と「運動」。生活習慣の見直しで、肝臓は健康を取り戻せる。
健康診断の結果は、あなたの体からの大切なお便りです。もし「肝機能」の項目にチェックがついていたら、それは「生活を見直す絶好のチャンス」と前向きに捉えましょう。
この記事が、あなたの肝臓の健康を守るための一歩となれば幸いです。気になる症状や検診結果があれば、決して自己判断せず、かかりつけ医や消化器内科の専門医に相談してくださいね。

【辛いもの好き必見】お尻の悲鳴、犯人は唐辛子だけじゃなかった!?

【辛いもの好き必見】お尻の悲鳴、犯人は唐辛子だけじゃなかった!?科学が解明したおしりの灼熱感、ヒリヒリ感、その意外な真実と対策

 

「ああ、またやってしまった…」

激辛ラーメンを汗だくで制覇した日の翌朝。あるいは、やみつきになるスパイシーなカレーを食べた後の、あの時間。トイレで訪れる、耐えがたいほどの焼けるような感覚。

「お尻が火事だ…!」

辛いものが大好きなあなたなら、一度は経験したことがあるのではないでしょうか?

あのヒリヒリとした痛みは、まるで粘膜が傷つき、ただれているかのような感覚をもたらします。「こんなに痛いのだから、きっと肛門の粘膜がボロボロになっているに違いない」「ストレスも溜まっているし、体が悲鳴をあげているんだ…」そう不安に感じている方も少なくないでしょう。

しかし、もしその痛みが、「物理的な傷」だけが原因ではないとしたら?そして、犯人が唐辛子だけではないとしたら?

この記事では、なぜ辛いものを食べるとお尻が痛くなるのか、そのメカニズムを最新の科学研究(一次資料)に基づいて徹底的に解き明かします。さらに、唐辛子に含まれるカプサイシン以外にも、あなたの日常に潜む「意外な刺激物」たちをご紹介。

読み終える頃には、あなたは肛門の痛みに怯えることなく、大好きな辛いものと賢く付き合っていくための知識と具体的な方法を手にしているはずです。さあ、あなたの長年の悩みに、科学の光を当てていきましょう。

 

第1章:なぜお尻は燃えるのか?主犯「カプサイシン」と痛みの正体

 

まず、多くの人が真っ先に思い浮かべる犯人、唐辛子の辛味成分**「カプサイシン」**について深掘りしていきましょう。

私たちが「辛さ」と感じる感覚は、実は「味覚」ではありません。甘味や塩味とは全く異なり、「辛さ」は「痛み」や「熱さ」を感知する神経の刺激によって生まれます。

私たちの体には、TRPV1(トリップ・ブイワン)という名のセンサー(受容体)が存在します。これは「カプサイシン受容体」とも呼ばれ、本来は43℃以上の熱や物理的な痛みを感知するためのセンサーです。火傷をした時や、熱いお風呂に入った時に「熱い!痛い!」と感じるのは、このTRPV1が働いているからです。

ところが、カプサイシンはこのTRPV1を、実際の温度に関係なく騙して活性化させてしまう性質を持っています。口の中でカプサイシンに触れると、TRPV1が「火事だ!」と勘違いし、脳に「焼けるように熱い!痛い!」という信号を送るのです。これが、口の中が燃えるように感じる正体です。

そして重要なのは、このTRPV1受容体は口の中だけでなく、食道、胃、腸、そして最終地点である肛門に至るまで、消化管全体に分布しているという事実。

カプサイシンは消化・吸収されにくいため、その多くが刺激性を保ったまま消化管を旅し、最終的に便として肛門を通過します。その際、肛門付近に密集しているTRPV1受容体をダイレクトに刺激するのです。

つまり、あなたが口の中で感じた「火事」は、時差を経て、そのまま肛門で「再燃」していたわけです。これが、肛門部が焼けるように感じる基本的なメカニズムです。

 

■ 過敏性腸症候群(IBS)の人は、なぜもっと痛いのか?

 

特に、お腹が弱く、日常的に下痢や便秘、腹痛に悩まされている**過敏性腸症候群(IBS)**の人は、辛いものによる肛門の痛みを強く感じやすい傾向があります。

ある研究(Jenkins, 2016)によると、IBS患者の腸では、このTRPV1受容体を持つ神経線維が、健康な人の約3.5倍も多く存在することが分かっています。つまり、痛みを感知するアンテナが通常より多いため、同じ量のカプサイシンを摂取しても、より強く、より過敏に「痛み」として感じてしまうのです。

もしあなたが「他の人よりも辛いものの影響を受けやすい」と感じているなら、それは気のせいではなく、体質的な要因が関係しているのかもしれません。

 

第2章:「辛いもので粘膜が傷つく」は本当?科学が見た衝撃の事実

 

「あれだけ痛いのだから、絶対に粘膜がただれているはずだ」

そう信じている方は多いでしょう。しかし、ここにもう一つの意外な事実があります。

ある研究(Graham et al., 1988)では、健康な人に30gものハラペーニョ(かなりの量です)を食べてもらい、その後にビデオ内視鏡で胃や十二指腸の粘膜を観察しました。その結果、驚くべきことに、目に見えるような粘膜の損傷(びらんや出血)は、ほとんど確認されなかったのです。

これは、「通常の食事で摂取するレベルの辛いものが、即座に消化管を物理的にボロボロにするわけではない」ということを示唆しています。痛みは主にTRPV1を介した「神経の興奮」によるものであり、必ずしも「物理的なダメージ」とイコールではないのです。

ただし、ここで注意が必要です。これはあくまで「目に見えるレベルの急性的な損傷」の話。動物実験のレベルでは、過剰なカプサイシンが活性酸素(ROS)の生成を促し、細胞のDNAを傷つけたり、粘膜に酸化ストレスという名のミクロなダメージを与えたりする可能性も報告されています(Bagchi et al., 1998)。

結論として、「焼けるような痛み」は神経のシグナルが主な原因であり、粘膜が即座に溶けたりただれたりするわけではない。しかし、過剰な摂取や慢性的な刺激は、目に見えないレベルで粘膜に負担をかけている可能性は否定できない、と理解するのが最も正確でしょう。

 

第3章:もう一人の黒幕。「ストレス」が肛門の感度を上げる

 

さて、話はカプサイシンだけでは終わりません。あなたの「心」の状態も、肛門の痛みに深く関わっています。

現代社会を生きる私たちにとって、切っても切れないのが「ストレス」です。そして、心理的・身体的なストレスは、消化管に直接的な影響を及ぼします。

ストレスを感じると、私たちの体は「闘争か逃走か」モードに入り、自律神経が乱れます。すると、消化管への血流が低下したり、腸の動きが異常になったりします。これだけでも、下痢や便秘の原因になります。

さらに重要なのは、ストレスが「痛みの感じ方」そのものを変えてしまうという点です。ある研究(Murray et al., 2004)では、ストレス状態にある人は、肛門や直腸の痛覚閾値(いきち)、つまり痛みを感じ始めるラインが低下することが示されています。

これは、普段なら何とも思わないような些細な刺激に対しても、「痛い」と感じやすくなる状態、いわば「肛門の知覚過敏」です。

ここに、辛いものが加わるとどうなるでしょうか?

普段なら耐えられるレベルのカプサイシンの刺激でも、ストレスで感度が上がった肛門にとっては、耐えがたい「灼熱感」として感じられてしまうのです。

「最近、特に辛いものがしみるな…」と感じる時は、食べたものだけでなく、あなたの心が疲れているサインなのかもしれません。

 

第4章:犯人は唐辛子だけじゃない!あなたの食卓に潜む「刺激物オールスターズ」

 

ここまで、主犯としてカプサイシンを挙げてきました。しかし、あなたの肛門を刺激する犯人は、彼だけではありません。実は、私たちの身近な食材にも、同様の作用を持つ「刺激物オールスターズ」が潜んでいるのです。

カプサイシン以外の代表的な刺激成分をご紹介しましょう。これらを知ることで、原因不明だったお尻の不調の謎が解けるかもしれません。

  1. ピペリン(Piperine) - 黒コショウ

「ピリッ」としたシャープな辛さが特徴の黒コショウ。その主成分であるピペリンも、カプサイシンと同様にTRPV1受容体を刺激し、焼けるような感覚を引き起こします(Dessirier et al., 1998)。パスタやステーキにたっぷりかけた黒コショウが、後から効いてくるのはこのためです。

  1. ジンゲロール&ショウガオール(Gingerol, Shogaol) - 生姜

体を温める効果で知られる生姜。その辛味成分であるジンゲロール(生の生姜に多い)とショウガオール(加熱・乾燥で増える)も、TRPV1を活性化させます。爽やかな辛さの裏で、あなたの消化管を優しく(時には強く)刺激しているのです。

  1. アリシン(Allicin) - ニンニク

スタミナ料理に欠かせないニンニク。その独特の匂いと刺激の元であるアリシンも、消化管粘膜に刺激を与えることがあります。カプサイシンとは少し違うメカニズムですが、知覚神経を興奮させる点では仲間と言えるでしょう。

  1. イソチオシアネート(Isothiocyanates) - わさび、からし、大根

ツーンと鼻に抜ける、あの独特の辛さ。わさびやからしに含まれるイソチオシアネートは、TRPV1とは別のTRPA1(トリップ・エーワン)というセンサーを刺激します。これは「ワサビ受容体」とも呼ばれ、冷たさや化学的な刺激を感知します。この刺激もまた、消化管を通過する際にヒリヒリ感の原因となり得ます。

  1. ニコチン(Nicotine) - タバコ

これは食品ではありませんが、非常に興味深い物質です。ニコチンもまた、口内や粘膜に灼熱感を引き起こすことが知られています(Dessirier et al., 1998)。喫煙習慣のある方で、お腹の調子や肛門の不快感に悩んでいる場合、タバコも一因となっている可能性があります。

このように見ていくと、唐辛子を避けているつもりでも、「コショウとニンニクたっぷりのペペロンチーノ」や「生姜とネギが効いた中華料理」、「わさびを効かせたお寿司」などが、知らず知らずのうちにあなたのお尻を刺激していた可能性があるのです。

 

最終章:もう悲鳴はあげない!明日からできる「肛門ケア」完全ガイド

 

さて、原因が分かれば、対策は立てられます。もう、あの痛みに怯える必要はありません。科学的根拠に基づいた、明日から実践できる具体的なアプローチをご紹介します。

 

【食事編】"ゼロ"ではなく"コントロール"を目指す

 

  1. 「自分だけの適量」を見つける

刺激物を完全に断つのは、食の楽しみを大きく損ないます。大切なのは、ゼロにすることではなく、あなたが快適でいられる**「適量」**を知ることです。食事日記をつけて、「何を」「どれくらい」食べたら、「何時間後に」「どんな症状」が出たかを記録してみましょう。自分の体と対話することで、心地よいラインが見えてきます。

  1. 刺激物オールスターズを意識する

唐辛子だけでなく、黒コショウ、ニンニク、生姜、わさびなども「刺激物」として認識しましょう。「今日は激辛カレーを食べたから、明日はコショウを控えめにしよう」といったコントロールが可能になります。

  1. "守りの食材"を一緒に摂る

刺激物を摂る際は、腸内環境をサポートする食材を一緒に摂るのがおすすめです。ヨーグルトなどの乳製品や、水溶性食物繊維(海藻、きのこ、オクラなど)は、便を柔らかくし、腸内フローラを整える助けになります。これらが刺激物をマイルドにコーティングしてくれるイメージです。

 

【生活習慣編】"見えない敵"を制圧する

 

  1. あなただけのストレス解消法を見つける

ストレスは肛門の知覚過敏を引き起こします。仕事や人間関係のストレスをゼロにすることは難しいですが、上手に発散することは可能です。ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、好きな音楽を聴く、軽い運動をする、友人と話すなど、あなたにとって心からリラックスできる時間を作りましょう。

  1. 自律神経を整える

質の良い睡眠、規則正しい食生活、適度な運動は、乱れがちな自律神経を整えるための基本です。特に睡眠不足は自律神経の天敵。まずはしっかりと眠ることから始めてみてください。体の内側から、刺激に負けない強さを育てましょう。

 

【トイレ習慣編】最後の砦を守る優しさ

 

  1. いきまない、長居しない

強く長くいきむことは、肛門周辺の血流を悪化させ、うっ血(いぼ痔の原因)や切れ痔(裂肛)に繋がります。便意を感じたら自然に出すことを心がけ、5分以上こもるのはやめましょう。スマホの持ち込みは厳禁です。

  1. 優しく、清潔に

排便後は、ゴシゴシ擦るのは絶対にNG。粘膜を傷つけ、バリア機能を低下させてしまいます。温水洗浄便座を弱い水圧で使うか、濡らしたトイレットペーパーや赤ちゃん用のおしりふきで優しく押さえるように拭き取りましょう。

 

まとめ:痛みは体からのサイン。賢く付き合い、食の喜びを取り戻そう

 

いかがでしたでしょうか。

辛いものを食べた後の肛門の痛みは、単に「粘膜が傷ついた」という単純な話ではないことがお分かりいただけたと思います。

  • カプサイシンなどの刺激成分が、痛覚センサー(TRPV1など)を直接刺激する「神経の興奮」が痛みの主な原因である。
  • ストレスによる「知覚過敏」が、その痛みを増幅させている。
  • 犯人は唐辛子だけでなく、黒コショウ、ニンニク、生姜、わさびなど、身近な食材にも潜んでいる。

この事実を知ることは、あなたを不安から解放し、具体的な対策へと導いてくれるはずです。

お尻の痛みは、あなたの体が発する「ちょっと刺激が強すぎるよ」「少し疲れているよ」という重要なサインです。その声に耳を傾け、食事をコントロールし、心を休ませ、優しくケアしてあげる。

そうすれば、あなたはもう肛門の痛みに怯えることなく、大好きな「食」の喜びを、心から満喫できるようになるでしょう。

ぜひこの記事をブックマークして、時々読み返してみてください。あなたの食生活と体調を見直す、最高のパートナーになるはずです。

75歳以上の健康診断:なぜ今、後期高齢者健康診査が大切なのか?

75歳以上の健康診断:なぜ今、後期高齢者健康診査が大切なのか?

「もう歳だし…」「普段元気だから大丈夫」「病院には通っているし、必要ないかな?」──そんなふうに思っていませんか?でも、75歳以上を対象とした『後期高齢者健康診査』は、国が費用を負担してくれる「健康長寿への招待状」です。
年に一度、自分の体と向き合い、未来の元気な毎日をつくるためのヒントを得られる貴重な機会。この記事では、後期高齢者健康診査とは何か、なぜ受けるべきか、当日の流れから結果の活かし方まで、丁寧に解説します。少し長めですが、あなたの“未来への投資”と捉えて、最後までお付き合いください。


なぜ今、後期高齢者健康診査が大切なのか?
体の変化は自覚しにくい――声なき異変をキャッチする

若い頃は多少無理しても回復が早かったかもしれませんが、加齢に伴い体調の変化は徐々に、そして静かに進行します。自覚症状がなくても、血圧や血糖値がじわり上がったり、動脈硬化が少しずつ進んでいたりする場合があります。これらは放置すると、突然の心筋梗塞や脳卒中など命に関わるトラブルにつながる可能性も。
後期高齢者健康診査は、そんな“声なき体の変化”を早めに発見するチャンスです。症状が出る前にリスクを知り、適切な対策を取れば、大きな病気を未然に防ぐことができます。

フレイル(虚弱)の兆候チェックも

近年よく聞く「フレイル」。日本語では「虚弱」と訳され、高齢期に心身の活力が低下し、要介護リスクが高まる状態を指します。具体的には…

* 昔より疲れやすくなった
* 歩く速度が遅くなった
* 筋力低下で開けにくいものが増えた
* 食欲低下・体重減少が見られる
* 外出や活動が減った

こうしたサインは一見軽い変化でも、放置すると転倒・骨折、要介護状態へ進むリスクがあります。しかし、早く気づけば改善策も講じやすく、元気な状態に戻すことが可能です。健診ではフレイルに関する質問も行われるため、定期的に受けることが自立した暮らしを長く続ける上で非常に重要です。

“健康寿命”をできるだけ長く

日本は平均寿命が世界トップクラスですが、介護を要する期間も長くなりがちです。「健康寿命」とは、健康上の制限なく自立して暮らせる期間のこと。後期高齢者健康診査の大きな目的は、この健康寿命を延ばし、最期まで自分らしく生きる力を維持することにあります。健診で現状を把握し、生活習慣を見直すきっかけにすることで、要介護を防ぎ、充実した日々を送るサポートになります。

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後期高齢者健康診査の基本

 対象者・運営・費用

* 原則として後期高齢者医療制度に加入する75歳以上の方
* 65~74歳で一定の障害認定を受け、後期高齢者医療制度に加入している方も対象

* 都道府県の「後期高齢者医療広域連合」が中心となり、市区町村と連携して実施

* 原則無料
* ただし、検査結果で精密検査が必要になった場合や、オプション検査を追加した場合は一部自己負担が生じる場合あり

受けられる時期・場所

* 毎年1回、4月1日~翌年3月31日の間に受診可能
* 各市区町村から送られてくる案内ハガキ(受診券)に受診期間が記載されているので要確認

* かかりつけ医など、案内に載っている指定医療機関
* 市区町村で催される集団健診(公民館など)

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健診で調べること――検査項目をわかりやすく解説

健診内容は大きく分けて「基本項目(全員実施)」と「詳細項目(医師判断で追加)」があります。順に見ていきましょう。

3-1. 基本的な項目(全員共通)

1. 質問票(問診)

* 生活習慣や自覚症状、既往歴・服薬歴を把握する大切な情報源
* 特にフレイル関連の問い:最近疲れやすい?体重減少はある?歩行速度の変化は?外出頻度は?など
* 正直に答えることで、自分の健康状態を正確に評価してもらう第一歩

2. 身体計測

* 身長・体重・BMI:高齢期は過度な肥満だけでなく、低栄養・筋力低下もリスク。適正体重の目安に。
* 腹囲:内臓脂肪の蓄積リスクを評価。生活習慣病予防に役立つ指標。

3. 理学的検査(身体診察)

* 医師が聴診・触診で体の状態を確認。気になる点があれば伝える好機。

4. 血圧測定

* 「サイレントキラー」と呼ばれる高血圧は自覚症状が乏しいまま動脈硬化などを進行させる。定期測定で早期発見を。

5. 血液検査

* 脂質(中性脂肪、HDL/LDLコレステロール):動脈硬化リスクを評価。
* 血糖(空腹時血糖、HbA1c):糖尿病リスクチェック。放置すると合併症が深刻化。
* 肝機能(AST/ALT/γ-GTP):沈黙の臓器・肝臓のダメージを把握。脂肪肝や薬・アルコールの影響もチェック。
* 腎機能(クレアチニン、eGFR):加齢や高血圧・糖尿病で低下しやすい腎機能をモニタリング。
* 貧血(赤血球数、血色素量等):高齢者の貧血は息切れ・倦怠感・転倒リスク増加につながる。

6. 尿検査

* 腎機能や泌尿器系、糖尿病の手がかりを得る。尿糖や尿蛋白などをチェック。

3-2. 詳細な項目(医師判断で追加)

以下は、基本検査や問診結果、過去の健診結果などを踏まえて医師が「さらに詳しく調べる必要あり」と判断した場合に行われます。

* 心電図検査:不整脈や狭心症、心筋梗塞など心疾患の兆候を把握。
* 眼底検査:網膜血管観察で、高血圧や糖尿病性変化を間接的に評価。
* 血清アルブミン検査:栄養状態の指標。低い場合は低栄養リスクが高まり、フレイルや感染症リスクを増大させる。

ほか、自治体や医療機関によってオプションで実施できる検査がある場合もあります。

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 健診を受けるには?――当日の流れとポイント

ステップ1:案内状(受診券)到着

市区町村から案内ハガキや受診券が郵送されます。受診可能期間や対象医療機関リストが記載されているので、大切に保管し、内容をよく確認しましょう。

* 受診券を紛失したら?
市区町村の後期高齢者医療担当窓口(長寿支援課・高齢福祉課等)に連絡すれば再発行可能。

ステップ2:受診先を決め、予約

* 案内に載っている医療機関リストから通いやすい場所を選択。
* かかりつけ医があれば、普段の健康管理との連携が取りやすくおすすめ。
* 電話で「後期高齢者健康診査を受けたい」と伝え予約。
* 集団健診は予約不要の場合や、別途申し込みが必要な場合があるので案内を確認。

ステップ3:当日の準備と注意点

* 持ち物

* 受診券(絶対忘れずに)
* 後期高齢者医療被保険者証(保険証)
* お薬手帳(服薬中の方)
* 質問票(事前に記入できるなら済ませておくとスムーズ)
* 念のため自己負担金(通常は無料だが、念のため少額用意)

* 食事

* 血液検査の精度向上のため、前日夜から絶食(飲水はOK)指示が一般的。機関によって異なるので、予約時に確認を。

* 服装

* 血圧測定や採血、心電図などを想定し、袖まくりしやすい・着脱しやすい服装が便利。

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健診結果の活かし方――未来の健康への第一歩

健診は「受けて終わり」ではありません。結果を受け取り、その後どう行動するかが大切です。

 5-1. 結果の確認ポイント

* 結果の受け取り方法

* 郵送で届く、または医療機関で医師から直接説明を受ける場合も。
* 結果を見る3つのポイント

1. 基準値との比較:基準値外の場合は「要指導」「要医療」などの指示に従う。
2. 前年との比較:たとえ基準内でも、前年と比べて悪化傾向がないか要チェック。わずかな変化が生活習慣見直しのサイン。
3. 背景の考察:体重増加と血圧上昇なら、「塩分摂りすぎか?運動不足か?」と自分の生活と結びつけて考えてみる。

5-2. 「異常なし」でも積極的に

* 「異常なし」は喜ばしい結果ですが、「これで安心、来年まで何もしなくていい」とは考えず、むしろ今の良い状態を維持・向上させるメッセージと捉えましょう。バランスの良い食事や適度な運動、良質な睡眠など、普段の生活習慣を続ける・見直すきっかけに。

5-3. 「要指導」「要医療」の対応

* 要指導(保健指導)

* 保健師・管理栄養士などの専門家から、健診結果や生活習慣に合わせた具体的アドバイスが受けられます。例:「味噌汁の汁を減らし具を増やす」「散歩時間をあと10分増やす」など実践しやすい目標設定。無料なので積極活用を。
* 要医療(要精密検査・要治療)

* 「疑いがあるので専門医で精密検査や治療を早めに受けてください」という重要なサイン。面倒でも放置は危険。早期発見・早期治療で負担軽減・良好な経過が期待できるため、必ず受診を。

5-4. かかりつけ医との連携

* 健診結果はぜひかかりつけ医に提示しましょう。日頃の体調情報と合わせて総合的に判断し、最適な健康管理プランを提案してもらえます。医療機関間の連携で、切れ目のないサポートを受けることが可能です。

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#健診と合わせて考えたいこと

* がん検診

* 胃がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん(男性)、乳がん・子宮頸がん(女性)などは後期高齢者健診とは別制度。市区町村で実施、多くは無料または少額負担。健診と同時にスケジュールを組んで定期的に受診を。
* 歯科健診・口腔ケア

* お口の健康は全身と深く関連。歯周病や嚥下機能低下は低栄養・フレイルや誤嚥性肺炎リスクにつながる。定期的な歯科受診でトラブル予防を。

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よくある質問(Q\&A)

Q1. 毎年受ける意味はある?
A1. 大いにあります。体は常に変化しています。昨年問題なかったから今年も安心、とは限りません。毎年の定期点検で小さな変化を拾い、生活習慣の修正タイミングを逃さないことが重要です。車検のように、年に一度のチェックを習慣にしましょう。

Q2. 通院中の病気があるけど、それでも受ける必要は?
A2. はい、お勧めします。通院中の疾患は主治医が管理していますが、健診では全身を広く浅くチェック。通院していない分野で思わぬ異常が見つかることもあります。健診結果を主治医と共有すれば、今後の治療方針検討にも役立ちます。ただし、主治医が同様の検査を定期的に行っている場合は重複不要となる場合もあるため、まずは相談を。

Q3. 面倒で受けたくない…
A3. お気持ちは分かります。しかし、半日ほどの時間で、今後1年、5年、10年の健康を守るヒントが得られるとしたら?もし健診を受けずに大きな病気が後から見つかると、治療の手間・費用・家族の負担は甚大です。未来の自分や大切なご家族のためにも、ぜひ勇気を出して受診を。

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最後に:あなたらしい人生を最期まで

ここまで後期高齢者健康診査の意義から受診方法、結果活用まで解説しました。健診は義務ではありませんが、国や社会からの「いつまでも自分らしく元気でいてほしい」という想いの表れです。
健診を受けることは、自分自身を大切にする行為であり、周囲の安心にもつながります。年に一度、自分の体と向き合う時間をつくり、健診結果という“道しるべ”を携えて、また新たな一年を元気に歩き出しましょう。
まずは手元に届いた案内状をもう一度開き、予約するところからスタート。あなたの健康で輝く日々が、一日でも長く続くことを心から願っています。

満腹感が遅れてやってくる理由?満腹感の正体、ゆっくり食べるべき理由を科学的に解説

 私たちは日常の中で「ゆっくり食べたほうが太りにくい」「食事開始から15〜20分で満腹感が出る」といった話をよく耳にします。でも、こうした言い伝えは、実際に科学的な根拠があるのでしょうか?今回のテーマは、そんな“満腹感が脳に伝わるまでの時間”について、最新の研究を元に紐解いていきます。

満腹感とは何か?まず押さえておきたいのは、満腹感には2つの側面があるということです。

Satiation(食事をやめる満腹感/ 摂食抑制):食事を途中でやめるきっかけになる“満たされた”感覚

Satiety(食後も続く満足感/ 満腹持続感):食後の“しばらくお腹が空かない”状態

今回は「食べている途中で、もう食べられない」と感じる“セイシエーション”の話がメインです。

この感覚は、単に胃がふくらむから起きるわけではありません。消化管から分泌されるホルモンや血中のエネルギー変化、さらには脳内の報酬系の活動など、様々な要因が絡み合って生まれるものです。

食後すぐには満腹感はやってこない
よく言われる「15〜20分で満腹感が脳に届く」という話は、実は完全な“都市伝説”ではありません。

たとえば、サティエチンという物質に注目した研究では、食後にこのホルモンが分泌され、30分以内に脳へ届いて摂食を抑える作用が始まることが示されています。この作用は1時間以内にピークに達し、その後24時間以上持続するという報告もあります(Knoll, 2005)。

また、**GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)**という消化管ホルモンは、食後10〜20分で血中濃度が上昇し、空腹感を抑える方向に働きます。ただし、これは“食事をやめる”引き金というよりも、次の食事までの食欲をコントロールする役割を果たしている可能性が高いとされています(Blundell & Näslund, 1999)。

満腹感は「じわじわ」高まる:心理学的視点
「主観的に感じる満腹感」については、心理物理学的手法を使った研究も存在します。

たとえば、食事中に2分ごとに自分の満腹感を測定してもらった実験では、6分間の食事で満腹度は最大の40%に達することが報告されました。その後も食事を続けることで、徐々に満腹感が増していくことがわかっています(Teghtsoonian et al., 1981)。

このことからも、満腹感は一瞬で感じるものではなく、食べながら段階的に形成されることがわかります。

脳はどう反応する?満腹時の神経活動も興味深い
さらに、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)を使った研究では、満腹になると脳の“報酬系”の活動が低下し、反対に自己制御を司る“前頭前皮質”の活動が高まることが示されました。

つまり、脳内でも「もうこれ以上は食べなくていい」という信号が食後しばらくしてから本格的に現れてくるのです(Thomas et al., 2015)。

ゆっくり食べることの意味
これらの研究を総合してわかるのは、食べ始めてから15〜20分くらいで、満腹を感じるためのホルモンや神経反応が本格化するということです。

つまり、早食いをすると、満腹信号が届く前に食べすぎてしまうリスクが高いということでもあります。

実際、早食いの人は肥満のリスクが高いという研究も多数あります。ゆっくり食べることには、味わいを楽しむだけでなく、体にとっても大きなメリットがあるのです。

まとめ:科学的にも「ゆっくり食べる」が正解だった
・食後10〜20分で満腹感を高めるホルモンが分泌される
・脳の満腹反応は30分以内にピークを迎える
・主観的満腹感は食事中に徐々に上昇する
・脳の自己制御機能は満腹時に強まる

こうした科学的な裏付けにより、「満腹感が脳に届くのに15〜20分かかる」という話は、おおむね正しいといえそうです。

食べすぎを防ぐためにも、食事の時間は最低でも20分以上かけて、しっかり味わいながら食べるのが健康的。次の食事からでも、ぜひ意識してみてはいかがでしょうか?

 

あなたのそのお腹の悩み、もしかして「FODMAP(フォドマップ)」が原因かも? 知っておきたいこと、そしてどうすればいいか

 「朝からお腹が張って苦しい」「大事な会議中にお腹がゴロゴロ鳴る」「食事の後、急にお腹が痛くなる」「便秘と下痢を繰り返している」…
このようなお腹の不調は、多くの人が抱える共通の悩みかもしれません。病院で検査を受けても「異常なし」と言われたり、薬を飲んでも一時的にしか効かなかったり、あるいは原因が分からず半ば諦めてしまったりしていませんか?

もし、あなたが長い間お腹のトラブルに悩まされているのなら、その原因の一つに「FODMAP(フォドマップ)」というものが関係しているかもしれません。

 今回は、このFODMAPとは一体何なのか? なぜお腹の不調を引き起こすのか? そして、もしFODMAPが原因かもしれないと思ったとき、どうすれば良いのかについて、詳しくお話しします。


FODMAPとは一体何? なぜお腹の不調につながるの?
まず、FODMAPとは特定の種類の**「糖質」の総称**です。Fermentable Oligosaccharides, Disaccharides, Monosaccharides, And Polyols の頭文字をとってFODMAPと呼ばれています。
これらの糖質には、共通するある性質があります。それは、「小腸で消化・吸収されにくく、大腸までそのまま届きやすい」という性質です。
大腸に届いたFODMAPは、そこにいる腸内細菌のエサとなり、「発酵」されます。この発酵の過程で、メタンガスや水素ガスなどのガスが大量に発生します。このガスがお腹の中で溜まると、お腹の張り(膨満感)やゴロゴロといった不快な音、そして痛みを引き起こすのです。
さらに、FODMAPには水分を引き寄せる性質もあります。そのため、大腸内の水分量が増加し、下痢を引き起こしやすくなります。逆に、ガスが溜まりすぎることで腸の動きが妨げられ、便秘につながることもあります。
つまり、FODMAPを多く含む食品を摂取すると、これらの性質によってお腹の中で過剰な発酵や水分の移動が起こり、様々な不調を引き起こす可能性があるのです。


FODMAPを多く含む食品の代表例としては、以下のようなものがあります。
オリゴ糖: 小麦、玉ねぎ、にんにく、ごぼう、大豆製品など
二糖類 (乳糖): 牛乳、ヨーグルト、チーズなど(乳製品)
単糖類 (果糖): はちみつ、りんご、マンゴー、果糖ブドウ糖液糖を含む清涼飲料水など
ポリオール: キノコ類、カリフラワー、アボカド、ソルビトールやキシリトールなどの人工甘味料
これらの食品は、私たちにとって身近で健康的なものも多く含まれています。「なぜこんな健康的なものがお腹の不調の原因に?」と思われるかもしれませんが、問題は「量」と「個人の感受性」です。多くの人にとっては問題なくても、FODMAPの消化・吸収能力が低い方や、腸が非常に敏感な方(過敏性腸症候群など)にとっては、少量でも症状を引き起こすことがあるのです。

「いつものこと」と放置して大丈夫?
「お腹の不調くらいで病院に行くほどでもないか」「体質だから仕方ない」と、長年の悩みを放置してしまっている方もいらっしゃるかもしれません。確かに、FODMAPが原因の不調は、直接命に関わる病気ではないことがほとんどです。
しかし、慢性的なお腹の不調は、あなたの生活の質(QOL)を著しく低下させています。
お腹の痛みが気になって、仕事や学業に集中できない
いつお腹の調子が悪くなるか分からず、外出が億劫になる
お腹の張りやガスが気になって、人前でリラックスできない
便秘や下痢で体調がすぐれず、気分が落ち込む
このように、お腹の不調は単なる体の症状に留まらず、精神的な負担も大きくなります。快適な日常生活を送る上で、お腹の健康は非常に重要なのです。
そして、最も重要なのは、自己判断で「どうせFODMAPだろう」と決めつけ、他の病気の可能性を見過ごしてしまうことです。お腹の痛みや便通異常は、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患、セリアック病、さらには悪性腫瘍など、早期発見・早期治療が重要な病気のサインである可能性もゼロではありません。大腸カメラ(内視鏡検査)を受けた方がいい場合もあります。
ですから、「いつものこと」と放置せず、まずは医療機関を受診して、適切な診断を受けることが何よりも大切です。

FODMAPが原因かも?と思ったら、どうすればいいの?                                       診察を受け、他の病気の可能性が低いと診断された上で、FODMAPによる不調が疑われる場合、有効なアプローチとして最も推奨されているのが「低FODMAP食(Low-FODMAP Diet)」です。
ただし、これは自己流で「あの食品が悪そうだからやめよう」と単にFODMAPを含む食品を避けるというものではありません。専門家の指導のもと、段階的に行うことが非常に重要です。

低FODMAP食は、主に以下の3つの段階を経て行われます。
除去期(Elimination Phase): この期間(通常2~6週間)は、高FODMAP食を一時的に、かつ厳密に避けます。これにより、症状が改善するかどうかを確認します。多くのFODMAPが原因の不調の場合、この段階で症状の軽減が見られます。しかし、この除去期は非常に制限が多くなるため、自己流で行うと必要な栄養素が不足したり、食事が偏ったりするリスクがあります。専門家(低FODMAP食に詳しい医師や管理栄養士)の指導のもとで行うことが必須です。
再導入期(Reintroduction Phase): 除去期で症状が改善したら、次はFODMAPの各グループ(乳糖、果糖、オリゴ糖など)を、一つずつ、少量から計画的に摂取してみて、どのグループの、どの食品が症状を引き起こすのかを確認する期間です。この段階が非常に重要で、自分にとっての「真の苦手なFODMAP」を見つけ出す作業です。すべてのFODMAPに反応するわけではありませんし、量によっては大丈夫なものもあります。この段階も、適切な手順を踏む必要があるため、専門家のサポートが不可欠です。
維持期(Personalization Phase): 再導入期で特定された「苦手なFODMAP」を含む食品を避ける食生活を継続します。ただし、必要以上に厳しく制限する必要はありません。症状が出ない範囲で、できるだけ多様な食品を食生活に取り入れられるように調整していきます。食の選択肢を広げ、栄養バランスを保つことが目標となります。これは、一生涯続ける食事療法ではなく、あくまで体質に合わせた食事を見つけるためのプロセスです。

低FODMAP食は、過敏性腸症候群などのお腹の不調に悩む多くの方に効果が期待できる食事療法です。しかし、その実施には専門的な知識と経験が必要です。
自己判断で安易に食品を制限してしまうと、栄養バランスが崩れたり、必要な食品まで避けてしまったりして、かえって体調を崩す可能性があります。また、症状の原因が本当にFODMAPなのか、他の病気が隠れていないのかを正しく判断するためにも、必ず医療機関を受診することが先決です。
もし、FODMAPによる不調が疑われる場合は、消化器内科の医師に相談し、低FODMAP食に詳しい管理栄養士や栄養士のサポートを受けながら進めることを強くお勧めします。
専門家と共に、段階を踏んであなたの体の反応を見ながら進めることで、安全かつ効果的に、自分に合った食事法を見つけることができるでしょう。そして、それは単に特定の食品を避けることではなく、あなたの体質を理解し、お腹の不調に悩まされない快適な毎日を取り戻すための、大切な一歩となるはずです。
お腹の悩みは、一人で抱え込まずに、ぜひ専門家の力を借りてみてください。あなたの悩みの原因がFODMAPにあるかどうかを知り、適切な対処をすることで、長年の不調から解放されるかもしれません。諦めずに、一歩踏み出してみましょう。

便潜血検査について、もう少し詳しくみましょう:なぜ2回行うの?陽性だったら、ポリープや癌は見つかるの?

健康診断や人間ドック、自治体のがん検診などで、「便潜血検査」を受けたことがある方は多いかと思います。これは、大腸癌をできるだけ早い段階で見つけ出すための、体への負担が少ない、とても手軽で重要な検査です。特に最近は、ヒトの血液だけに反応する「免疫学的便潜血検査」が一般的になっていますね。
 この便潜血検査について、「なぜ2回(2日分)も便を採るんだろう?」「もし陽性って言われたら、ポリープや癌はどのくらいの確率で見つかるんだろう?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、これらの疑問について、もう少し詳しく、分かりやすくお話ししたいと思います。
 
 どうして便は2回、違う日に採る必要があるの?
 
 便潜血検査で、わざわざ面倒だけれど2日分の便をいただくのには、ちゃんとした理由があるんです。それは、大腸の中にひそんでいるポリープや、まだ小さくて症状が出ていない早期の癌というのは、毎日決まって出血しているわけではない、という特徴があるからです。
イメージしてみてください。大腸の壁にできたポリープや癌の表面というのは、デリケートな場合が多いです。そこを、硬さや量、形が日によって違う便が通過する際に、擦れたり圧迫されたりして、ほんの少し出血することがあります。でも、出血するのはその時だけで、次の日には止まっている、なんてことがよくあるんですね。いわば、「間欠的」な出血なんです。
もし、たった1日分の便しか検査しなかったとしたらどうでしょう? 運悪く、病変があるのにその日が出血していなかった日だったら、「陰性」という結果が出てしまい、せっかくの病変を見逃してしまうことになりますよね。これは、検査の「感度」、つまり「病気がある人を正しく陽性と見つけ出す能力」が下がってしまうことにつながります。
そこで、知恵として考え出されたのが、2日分の異なる日の便を検査する方法です。こうすることで、出血している可能性があるタイミングを捉えられる確率がグッと上がります。「この日は出ていなくても、別の日は出血していた」というケースを見つけやすくなるわけです。多くの研究で、2日法は1日法に比べて、早期の癌や、将来癌になるリスクの高い大きなポリープ(進行腺腫といいます)を見つける感度が高いことが示されています。
だから、日本の国が推奨する大腸癌検診などでも、この「2日法」が標準的な方法として採用されているんですね。これは、限りある資源の中で、より多くの大腸の病変を見つけ出すための、とても合理的な工夫なんです。
免疫学的便潜血検査は、人の血液にだけ反応するように作られているので、肉を食べたから陽性になる、といった心配はほとんどありません。普段通りの生活の中で、指定された方法で2日分の便を採っていただければ大丈夫です。
まとめると、便潜血検査を2回行うのは、ポリープや早期癌からの出血が『間欠的』であることを踏まえ、検査の感度を高めて、より確実に病変による出血を見つけ出すためなんです。

 もし便潜血検査が陽性だったら、ポリープは見つかる確率ってどれくらい?
  
 さて、もし便潜血検査の結果が「陽性」だったら、これは「便の中に目に見えないほどの血液が混じっていましたよ」というサインです。決して「あなたは癌です!」という意味ではありません。ただ、出血している原因がどこかにあるはずなので、「念のために詳しく調べましょう」ということになります。この精密検査として、最も推奨されるのが「大腸内視鏡検査(いわゆるカメラの検査)」です。
 では、便潜血陽性という結果が出た方が、実際に大腸内視鏡検査を受けた場合に、ポリープ、特に将来癌になる可能性のある「腺腫」が見つかる確率はどのくらいなのでしょうか?
これまでに行われた数多くの大規模なスクリーニング研究や、たくさんのデータをまとめて解析した報告(信頼できる一次データに基づいたもの)を見てみると、便潜血陽性だった方の内視鏡検査では、かなりの高確率でポリープが見つかっています。
 特に、癌化する可能性のある腺腫全体や、特に要注意とされる「進行腺腫(将来癌になるリスクが高いとされる、大きさが10mm以上だったり、形が悪かったりするタイプの腺腫)」を含めると、便潜血陽性だった方のおよそ3割から5割程度で、これらのポリープが見つかっているという報告が多いんです。
 たとえば、日本の自治体が行っている大腸癌検診の成績を集計・評価した公的な報告などでも、便潜血陽性で精密検査を受けた方の中から、腺腫性ポリープが約3割、さらに進行腺腫が約1割から1割強程度の割合で見つかっている、といったデータが示されています。
 これらの結果が示唆するのは、便潜血検査が単に大腸癌を見つけるだけでなく、癌になる前の段階であるポリープ、中でも将来的なリスクが高い進行腺腫を見つけ出す上でも、非常に有効な手段であるということです。そして、ポリープが見つかれば、内視鏡を使ってその場で切除することが多く、それによって将来、大腸癌になることを予防できる可能性が大きく広がります。だからこそ、便潜血陽性は、癌の可能性を心配するだけでなく、「癌になる前にリスクを取り除くチャンス」と捉えることもできるのです。

では、便潜血陽性で「大腸癌」が見つかる確率は?

 便潜血検査の最大の目標は、やはり大腸癌の早期発見です。では、便潜血検査が陽性だった方が、精密検査である大腸内視鏡検査を受けた場合に、実際に「大腸癌」が見つかる確率はどのくらいなのでしょうか?
 この確率も、検査を受けた方の年齢層や、地域の大腸癌の発生率、使っている検査の種類や陽性の基準、そして精密検査をどれくらいの人がきちんと受けたかなど、色々な要素で少しずつ変わってきます。ですが、全体的な傾向として、免疫学的便潜血検査の2日法で陽性となった方のうち、大腸癌が発見される確率は、多くの研究結果や、国レベルでの大規模な検診データなどから、だいたい3%から10%くらいだと言われています。
これは、検査の「陽性的中度」と呼ばれるもので、「陽性だった方のうち、本当に大腸癌だった人の割合」を示しています。例えば、便潜血陽性だった方が100人いたら、そのうちの約3人から10人の方に大腸癌が見つかる、ということです。
この確率は、無症状の、つまり特に気になる症状がない方を対象としたスクリーニング検査で、病気(この場合は大腸癌)を見つけ出す確率としては、十分に高いと考えられています。残りの方々(90%以上)は、ポリープや、痔、大腸憩室からの出血、炎症など、大腸癌以外の原因で出血しているか、あるいは検査では出血の原因が特定できなかったケースです。
 ですが、この3%から10%という確率は、見逃してしまうと将来的に命に関わる可能性のある大腸癌を、まだ症状が出ていない比較的早期の段階で発見できる、非常に貴重な機会を与えてくれます。実際、便潜血検査で見つかる大腸癌は、早期の段階で見つかることが多いため、手術や治療によって治る可能性が、症状が出てから見つかる進行癌に比べて格段に高い傾向があります。
 ですから、便潜血陽性という結果は、決して軽視せず、「大腸に何らかの病変があるかもしれない、詳しく調べてみましょう」という、体からの大切なメッセージとして受け取っていただきたいと思います。そして、たとえ癌が見つかる確率が100%ではないとしても、この確率のために精密検査を受ける価値は非常に大きいと言えるでしょう。早期に発見できれば、それだけ助かる可能性が高まるからです。
 
これらの確率って、何で変わるの? 他に出血の原因はあるの?

 先ほどお話ししたポリープや癌が見つかる確率は、あくまで多くの人を対象にした場合の「平均的な数字」です。個人個人を見ると、その方が持っているリスク要因によって確率は多少変わってきます。
 例えば、年齢が高くなるほど、あるいは男性の方が、残念ながら大腸癌や腺腫が見つかる確率は一般的に上がると言われています。また、ご家族の中に大腸癌になった方がいる、といった大腸癌の家族歴がある方も、リスクが高まるため、陽性時の発見確率も高くなる傾向があります。さらに、使っている検査方法の種類や、陽性か陰性かを分ける基準値、そして精密検査である内視鏡検査をどれだけ丁寧に行うか、といった点も、発見確率に影響を与えます。
そして、便潜血検査が陽性になる原因は、大腸のポリープや癌だけではありません。大腸よりもお尻に近い部分や、その他の消化管の病気でも便に血が混じることがあり、便潜血陽性になるケースはよくあります。
• 痔(じ): いぼ痔や切れ痔など、肛門の周りの病気ですが、排便時に出血して便に付着し、便潜血陽性の原因として最も多いものの一つです。多くの場合は心配いりませんが、やはり精密検査で確認が必要です。
• 大腸憩室(だいちょうけいしつ)からの出血: 大腸の壁の一部がポケットのように膨らんだ「憩室」から、ときに出血することがあります。特に高齢者でよく見られます。
• 炎症性腸疾患: 潰瘍性大腸炎やクローン病といった、大腸に慢性的な炎症が起きる病気でも、出血を伴うことがあります。
• その他: 胃や十二指腸など、大腸よりも上の部分からの出血が便として出てくることも稀にあります。また、一部の飲み薬(例えば、痛み止めなど)が原因で消化管から出血することもあります。
 このように、便潜血陽性イコール必ず大腸癌、ではないんです。痔など、比較的よくある病気が原因である可能性も十分に考えられます。だからこそ、「陽性だ…どうしよう…」と過度に心配しすぎる必要はありません。大切なのは、「出血の原因をきちんと確かめましょう」ということです。
 
 便潜血陽性だった… さあ、どうすればいい?精密検査の重要性 

 便潜血検査は、あくまで「大腸に何か異常があるかもしれないから、詳しく調べてみましょうか?」という『ふるい分け』の検査です。陽性という結果は、「精密検査を受けてくださいね」という、体からの明確な『お知らせ(信号)』だと考えてください。この信号を受け取ったのに、そのまま放置してしまうのは、せっかく受けた検査の意味がなくなってしまうことになり、非常にもったいないです。
残念ながら、便潜血が陽性だったにも関わらず、忙しいから、怖いから、面倒だから…といった理由で、精密検査である大腸内視鏡検査を受けない方が一定数いらっしゃいます。これは、本来なら早期に見つけられて治療できたはずの癌や進行腺腫を見逃してしまう、という最も避けたい事態につながってしまいます。
 便潜血検査を有効に活用し、大腸癌で亡くなる方を減らすためには、陽性という結果を受け取った方が、迷わず、そしてできるだけ早く精密検査を受けていただくことが何よりも重要なんです。大腸内視鏡検査では、専門の医師が大腸の内部を直接、隅々まで観察します。出血の原因になっている病変がどこにあるのかを特定できますし、もしポリープが見つかれば、多くの場合、その場で切除することができます。早期の癌が見つかった場合でも、内視鏡での切除で済むこともありますし、たとえ手術が必要でも、早期であれば体への負担も少なく、その後の回復も早い傾向にあります。
 便潜血陽性という結果に必要以上に不安を感じるのではなく、「早期発見・早期治療に繋がるチャンスがやってきた!」と前向きに捉え、しっかりと精密検査を受けていただくことが、ご自身の大腸の健康を守るために、そして安心を得るために、最も確実で賢明な一歩です。

まとめ
 
 便潜血検査で2日分の便を採取するのは、ポリープや早期癌からの『間欠的な出血』を見逃さず、検査の『感度』を高めて病変を見つけやすくするためです。
 そして、もし便潜血検査が「陽性」という結果だった場合、それは「便に血液が混じっていました。詳しく調べてみましょう」というサインです。精密検査を受けると、癌になる可能性のある腺腫性ポリープがだいたい3~5割程度、そして大腸癌がだいたい3%~10%くらいの確率で見つかることが、これまでの多くのデータから分かっています。
 便潜血陽性は、精密検査が必要なお知らせであり、決して怖い結果ではありません。このお知らせを受け止めて、しっかりと精密検査を受けていただくことが、ご自身の大腸の健康をチェックし、万が一病変が見つかっても早期に対応できる、最善の方法です。この検査と精密検査の組み合わせこそが、大腸癌による辛い状況を避けるために、私たちができる効果的な対策なのです。

3か月で脂肪肝は改善しますか?何年で肝硬変になりますか?自分でできることは?

1 生活習慣改善による肝脂肪減少のメカニズム

  • 体重の5~10%減少で肝脂肪が著明に低下する。
  • 食事(低脂肪・低GI食)+運動(有酸素運動150分/週程度)が基本。​

1.2 臨床試験データ

体重減少率

NAFLD改善率 (MRS判定)

期間

5.0–6.9%

50%

12か月

7.0–9.9%

60%

12か月​

≥10%

97%

12か月​

  • しかし、抵抗運動だけでも3か月で超音波上の肝脂肪減少を認めた報告あり(対象82例、抵抗運動群で有意改善)​。
  • したがって、厳格な食事制限+運動療法を継続すれば、3か月で脂肪肝(NAFL)を改善できる可能性は十分ある。
  1. 肝硬変へ進行するまでの年数

1 自然経過のばらつき

  • 一般に「10~30年」で肝硬変へ進行するとされる。​
  • 進行速度は以下の因子で大きく異なる:
    • NASHの有無(NASHはNAFLより進行が速い)
    • 糖尿病・肥満・高血圧・脂質異常症の合併
    • 遺伝的素因(PNPLA3遺伝子多型など)
    • アルコール摂取量

2 コホート研究データ

  • NAFLD患者約62万例を8年間追跡した研究:
    • NAFLD→肝硬変への累積リスク39%(8年)
    • 代償性肝硬変→非代償性肝硬変へのリスク45%(8年)​
  • NASHかつ線維化F3の患者の20%が2年で肝硬変または非代償状態へ進行する「20%ルール」​
  1. 改善と進行を左右する主要因

因子

脂肪肝改善への寄与

肝硬変進行促進

体重減少

運動習慣

糖尿病管理

アルコール摂取

高血圧・脂質異常

遺伝的素因

 

  1. 具体的な3か月プラン例
  1. 食事療法
    • エネルギー摂取を基礎代謝+活動代謝の合計から500kcal/日減
    • 低GI食品、飽和脂肪酸制限、たんぱく質増量
  2. 運動療法
    • 有酸素:週150分(ウォーキング、サイクリング等)
    • 抵抗運動:週2回(大筋群を中心に)​
  3. 定期モニタリング
    • 血液検査(ALT, AST, γ-GTP)1か月ごと、ELFスコア検査
    • 画像検査(超音波)開始時・3か月後
  1. まとめ
  • 3か月でのNAFL改善は可能だが、体重5~10%減少・運動継続が必須。
  • 肝硬変進行は10~30年の幅があり、NASH・線維化度F3では2年以内に進行する例もある。
  • 早期発見・早期介入が最重要。定期的に肝機能・線維化指標をチェックし、生活習慣を徹底的に見直すことで、脂肪肝の改善および肝硬変予防が可能である

風邪を引くと食欲がなくなるのはなぜですか?その対処法、胃カメラ検査の必要性

風邪をひいたときに「食欲がなくなる」という経験をしたことがある人は多いでしょう。
この現象は単なる気分の問題ではなく、体の防御反応や生理的変化に深く関係しています。科学的根拠に基づいて、風邪による食欲不振の原因とその対処法、さらに胃カメラ検査の必要性について詳しく解説します。

風邪と食欲不振のメカニズム

風邪(一般的な急性ウイルス性上気道感染症)にかかった際に食欲が減退するのは、主に以下のメカニズムが関係しています。

  1. 炎症反応による影響

風邪を引くと、体はウイルスを排除するために炎症反応を起こします。このとき、サイトカイン(例:インターロイキン-1β、腫瘍壊死因子α)が大量に分泌されます。
これらの物質は、脳の視床下部に作用し、発熱、倦怠感、そして食欲抑制を引き起こします(Dantzer, 2009)。
つまり、体がエネルギーを消費してウイルスと戦うため、消化活動を抑えて免疫活動を優先させているのです。

  1. 味覚・嗅覚障害

風邪ウイルスによって鼻の粘膜が腫れると、嗅覚が鈍化し、さらに味覚も低下するため、食べ物を美味しく感じにくくなります(Doty, 2008)。
これは、「匂いがわからないと食べ物の味もよく感じられない」という、人間の味覚の構造と関連しています。

  1. 胃腸機能の低下

また、体調不良時には自律神経のバランスが乱れ、消化機能が低下します。特に副交感神経(消化を促進する神経)が抑えられ、胃腸の動きが鈍くなるため、胃もたれや吐き気、食欲低下を感じることがあるのです(Katsuya et al., 2018)。

どうすればいいのか?―対処法

風邪による食欲不振は一時的な生理現象であるため、無理に食べる必要はありません。しかし、栄養補給は重要です。以下の方法が推奨されます。

  1. 消化の良いものを少量ずつ

おかゆ、うどん、ヨーグルトなど、胃に負担をかけない食品を選び、少量ずつ摂取しましょう。
栄養素としては、ビタミンC、亜鉛、たんぱく質が免疫機能の維持に役立つとされています(Carr & Maggini, 2017)。

  1. 水分補給を忘れずに

脱水症状を防ぐため、食欲がない時でもこまめな水分補給(経口補水液やスープ)を心がけることが重要です。

  1. 十分な休養

栄養補給と同時に、十分な休養を取ることが回復への最短ルートです。体がウイルスと戦うエネルギーを蓄えるためにも、休息は不可欠です。

胃カメラ検査は必要か?

風邪が原因であれば基本的に不要

風邪による一時的な食欲不振だけであれば、通常、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)は必要ありません
なぜなら、これは自然な免疫反応に伴う一過性の現象であり、胃自体に異常があるわけではないためです(Fukushima et al., 2012)。

ただし、以下の場合は検査を検討

  • 2週間以上食欲不振が続く場合
  • 強い胃痛、吐血、黒色便(消化管出血の兆候)がある場合
  • 体重が急激に減少している場合

このような場合は、胃炎、胃潰瘍、胃癌などの消化器疾患の可能性があるため、医師と相談の上、胃カメラ検査を受けることが推奨されます。

 

風邪をひくと食欲が落ちるのは、体の免疫反応や消化機能低下、味覚・嗅覚障害による自然な現象です。基本的には無理をせず、消化に良いものを少しずつ取り、水分補給をしながら回復を待つのが正解です。
しかし、症状が長引く場合や異常症状がある場合には、胃カメラ検査を含めた診察を受けるべきでしょう

胃カメラは何年に一度受けるべき?内視鏡検査で分かること?

胃の調子が悪いと感じても、すぐに病院を受診する方は意外と少ないものです。特に胃カメラ(内視鏡検査)は「苦しそう」「つらそう」というイメージから避けられがちですが、実は早期発見が命を救う重要な検査なのです。

では、胃カメラはどのくらいの頻度で受けるべきなのでしょうか?また、胃カメラ検査で具体的にどのようなことが分かるのでしょうか?本記事では、そんな疑問にお答えします。

胃カメラの受診頻度は?

胃カメラ検査の理想的な頻度は、一般的には年齢やリスク要因によって異なります。日本消化器病学会や日本人間ドック学会の推奨によると、特に症状がなくても40歳を過ぎたら一度は検査を受け、その後は2~3年に一度のペースで定期検査を行うことが推奨されています。

ただし、以下のようなリスク要因を持つ方は1年に1度の検査が推奨されます。

  • ピロリ菌感染歴がある方
  • 胃潰瘍や十二指腸潰瘍の既往歴がある方
  • 胃がん家系の方
  • 喫煙・飲酒習慣がある方
  • 慢性的な胃もたれや胸焼けが続いている方

これらのリスク要因がある場合、がんの早期発見のためにも毎年受けるのが理想的です。

胃カメラ検査で分かること

胃カメラ検査は、胃や食道、十二指腸などの上部消化管の内部を直接観察できる検査です。内視鏡の先端に小型カメラがついており、高精細な画像で胃粘膜の状態をリアルタイムで把握することが可能です。

具体的には、次のような病気や異常を早期に発見することができます。

  1. 胃がん 胃カメラは胃がんを早期発見できる最も確実な方法です。胃がんは早期には症状がほとんど現れないため、自覚症状がないうちに検査を受けることで早期治療が可能となり、治癒率が大幅に向上します。
  2. ピロリ菌感染症 ピロリ菌は胃粘膜を傷つけ、胃潰瘍や胃がんのリスクを大幅に高めます。胃カメラ検査時に組織を採取することでピロリ菌の有無を正確に診断でき、適切な除菌治療を行うことが可能になります。
  3. 胃潰瘍・十二指腸潰瘍 胃酸やストレス、薬剤などが原因で発症する潰瘍は、胃カメラで明確に診断できます。特に症状が軽微な段階で治療を始めれば、悪化を防ぐことができます。
  4. 逆流性食道炎 胃酸が食道に逆流することで炎症を起こす逆流性食道炎も、胃カメラで早期に確認できます。放置すると食道がんのリスクを高めることから、定期的な観察が重要です。
  5. バレット食道 逆流性食道炎が長期間続くと、食道粘膜が胃粘膜に似た状態に変化することがあります。これはバレット食道と呼ばれ、食道がんの前段階として知られています。内視鏡検査で早期発見が可能です。

胃カメラ検査の苦痛を減らす工夫

「胃カメラは苦しいから嫌だ」と感じる方は多いですが、近年ではさまざまな工夫により苦痛を軽減した検査が普及しています。

  • 鎮静剤を使った胃カメラ(鎮静内視鏡):眠った状態で検査を行えるため、苦痛がほとんどありません。
  • 経鼻内視鏡検査:鼻から挿入する細い内視鏡で、喉を通る違和感や吐き気を大幅に軽減します。

検査のストレスが軽減されることで、検査に抵抗感を持つ方も安心して受診できるようになっています。

定期的な検査の重要性

胃がんは早期に発見すれば治癒する可能性が非常に高い病気です。しかし、日本では依然として進行してから見つかるケースが多く、手遅れになる例も少なくありません。

定期的な胃カメラ検査は健康な生活を送るための予防医療の一環です。特に胃に関しては症状がなくても検査を受けることが重要です。自覚症状が出る頃には病状がかなり進行している可能性もあるからです。

検査を避けることは、一見ラクなようですが、将来的に自分自身や家族を困らせるリスクを高めることになります。積極的な健康管理を意識し、定期的な胃カメラ検査を受けることを習慣化しましょう。

まとめ

胃カメラ検査の頻度は一般的に2~3年に一度、リスクがある方は1年に一度が理想的です。胃カメラでは、胃がんを始めとする重大な病気を早期発見し、適切な治療に結びつけることが可能です。最近では、苦痛を最小限にした胃カメラ検査も普及しているため、抵抗感がある方もぜひ積極的に受診してみてください。あなた自身と大切な家族のために、定期的な検査を心がけ、安心できる毎日を過ごしましょう。

 

胃もたれをすぐに解消する方法はある?胃カメラ検査を受けるべき症状とタイミングも解説!

「胃が重い」「食べ物がいつまでも胃に残っている感じがする」といった「胃もたれ」は、多くの人が経験する身近な症状のひとつです。しかし、頻繁に起こったり長引く場合、もしかしたら重大な病気のサインかもしれません。本記事では、胃もたれの原因を解説するとともに、すぐに実践できる解消法、さらに胃カメラ検査を受けるべき症状やタイミングについて詳しくご紹介します。

 

1.胃もたれとは?その主な原因とは?

「胃もたれ」とは、食後に胃が重く感じたり、消化不良で胃の中に食べ物が停滞しているような不快感を指します。具体的には次のような感覚が特徴的です。

  • 食べ物がいつまでも消化されない感じ
  • 胃が重苦しい、張ったような感じ
  • 食後すぐに満腹感が強くなり、それ以上食べられない
  • 胃もたれが起きる主な原因としては、次のようなものが挙げられます。

① 食べ過ぎ・早食い

食べ物を大量に一度に摂取すると、胃の消化能力が追いつかず、胃の運動が停滞しやすくなります。また、早食いも十分に噛まないため胃への負担が増え、消化不良を起こしやすくなります。

② 脂肪の多い食事

脂質が多い食べ物は消化に時間がかかり、胃内滞留時間が長くなり、胃もたれの原因となります。

③ ストレス・過労

ストレスが多い環境にいると自律神経のバランスが乱れ、胃の働きが低下し胃もたれが起こります。

④ 加齢

加齢により胃の運動機能が低下するため、高齢者は胃もたれを感じやすくなります。

 

2.胃もたれをすぐに解消するための5つの方法

胃もたれを感じたら、次のような方法を試してみましょう。

① 温かい飲み物を飲む

温かいお茶や白湯は胃を温め、胃の働きを助けます。特にカモミールティーや生姜湯は消化促進効果があり、胃もたれ解消に効果的です。

② 軽く散歩する

食後に軽い運動をすると胃腸の働きを促進します。10分程度の軽い散歩が効果的です。

③ 消化を助けるツボを押す

胃もたれには「中脘(ちゅうかん)」と呼ばれるツボが効果的です。中脘はおへそとみぞおちのちょうど中間点にあり、ここを軽く押しながらゆっくり呼吸すると、胃がスッキリすることがあります。

 

④ 食後に横にならず、背筋を伸ばして座る

食後にすぐ横になると胃酸が逆流し、胃もたれを悪化させることがあります。食後1時間は背筋を伸ばして座った姿勢を保ちましょう。

⑤ 消化酵素を含む食品を摂る

大根やパイナップルには消化酵素が豊富で、胃もたれの改善に役立ちます。食後に少量摂取すると効果的です。

 

3.こんな胃もたれは要注意!胃カメラ検査を受けるべき状況とは?

一過性の胃もたれであれば特に心配ありませんが、以下のような症状が伴う場合、放置すると重大な病気の可能性が高まります。

 

胃カメラ検査を検討すべき症状チェックリスト

以下の症状にひとつでも当てはまったら、胃カメラ検査を受けることをおすすめします。

  • 胃もたれが2週間以上続いている
  • 食欲不振や体重減少がある
  • 胸やけや吐き気が頻繁にある
  • 食後に胃が痛む
  • のどのつかえ感や違和感がある
  • 黒色便(タール便)が出る
  • 40歳以上で胃カメラを一度も受けたことがない
  • 家族に胃がんや胃潰瘍の患者がいる

胃カメラ検査で見つかる可能性のある病気

胃カメラ検査を受けると以下の病気の早期発見が可能です。

  • 胃炎(急性・慢性)
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
  • 逆流性食道炎
  • ピロリ菌感染症
  • 胃がん
  • 食道がん
  • アニサキス症(寄生虫感染)

胃の病気は早期に治療を始めれば、治療成績が非常に良くなるため、検査を躊躇せず受けることが重要です。

 

4.胃カメラ検査のタイミングとメリット

胃カメラ検検査(内視鏡検査)は、胃の内部を直接観察し、病変を早期に見つけることができる非常に有効な検査です。年齢や症状に応じた推奨タイミングをご紹介します。

  • 40歳以上の方:特に症状がなくても定期的に胃カメラを受けることが推奨されます。日本では40歳以降は胃がんのリスクが急増します。
  • ピロリ菌感染者:ピロリ菌に感染している場合は年1回の定期検査を受けるとよいでしょう。
  • 慢性的な胃の症状がある方:胃もたれや胸焼けなどの慢性症状があれば、迷わず胃カメラを受けるべきです。

胃カメラ検査のメリットは、病気の早期発見だけでなく、がんや潰瘍のリスクを未然に防ぐことにもあります。検査はわずか10~15分程度で終了し、苦痛の少ない麻酔法も普及していますので安心してください。

胃もたれを軽視せず、適切な対応を!

胃もたれはよくある症状だからこそ、放置されやすいですが、頻繁に起こる場合や継続的な場合には重大な病気が隠れている可能性もあります。まずは胃もたれを解消するためにできる対処法を試し、それでも改善しない場合は迷わず胃カメラ検査を受けましょう。あなたの健康を守るためにも、「たかが胃もたれ」と油断せず、自分の体をしっかりとケアしてくださいね。

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