
飲み会続きの胃もたれ・胸やけを最短でリセット:出社前コンビニ対策・ランチ・今夜の防御まで(院内ブログ)
つらい方は、無理せず先に受診準備へ(数分でOK)
「胸やけが続く」「胃痛がつらい」「黒い便が心配」などがある場合は、自己判断で引き延ばさない方が安全です。 WEB問診→WEB予約の順がスムーズです。
飲み会続きで胃もたれ・胸やけがつらい朝は、 「水分 → 胃の保護 → 消化の早い栄養」の順に立て直すのが最短ルートです。
- ① 常温の水:脱水ケア(冷たい飲み物は今日は避ける)
- ② 胃を守る:合う人は 飲むヨーグルト/牛乳を少量
- ③ 早い燃料:ゼリー飲料/バナナで午前を乗り切る
昼は 温かいうどん を軸に、卵・大根おろしで回復を後押し。 今夜も飲み会なら 乾杯15分前の牛乳/チーズ+チェイサー(同量の水) でダメージを減らせます。
受診の目安: 黒い便(タール便)・吐血、強い腹痛、飲み込みにくさ、体重減少、貧血が疑われる、嘔吐が続く、 胸やけが数日〜数週間続く場合は、自己判断で長引かせず医療機関へ(胃カメラ含め評価を検討)。
この記事の監修・執筆
- 監修:医師 沖田 英明(資格:日本消化器内視鏡学会 専門医 等)
- 執筆:沖田 英明
- 利益相反:開示すべきCOIなし(※院内方針に合わせて記載)
※本文は一般的な健康情報です。症状が強い・長引く・出血が疑われる場合は受診をご検討ください。
飲み会シーズンの胃腸不調:なぜ「朝が最悪」になるのか
年末・年度末・歓迎会シーズンは、断れない付き合いが続きやすく、朝から 胃もたれ、 胸やけ、 吐き気、 だるさで仕事のパフォーマンスが落ちがちです。
このページのゴール
- 午前のムカムカを悪化させない
- 昼に回復の流れを作る
- 今夜のダメージを最小化する
※「飲み会をゼロにする」理想論ではなく、現実にできる対策だけに絞っています。
「長引く胸やけ・胃痛」は検査で原因を確認するのが近道
数日〜数週間続く胸やけや、黒い便などがある方は早めの相談をおすすめします。 受診前にWEB問診を済ませておくとスムーズです。
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Q. なぜ飲み会続きで胃もたれ・胸やけが起きる?(体の中で起きていること)
答え(結論→理由→補足)
結論:飲み会続きの不調は、「アルコールの刺激」+「深夜の食事(脂・量・時間)」+「食後すぐ就寝」が重なって起きることが多いです。
理由:胃は“消化と防御”を同時にこなしますが、連日の負荷でバランスが崩れ、胃酸の刺激や逆流が起きやすくなります。
補足:「飲んだ翌日だけ」なら回復する人でも、連戦になると一気に崩れます。
胃もたれ:胃の中で「消化渋滞」が起きやすい
胃もたれは、胃の内容物がいつまでも残っているような重さ、げっぷ、膨満感として出ます。 飲み会の「揚げ物」「締めラーメン」「遅い時間のドカ食い」は、胃が処理する量と質の両方を上げるため、 翌朝まで“未処理感”が残りやすくなります。
胸やけ:胃酸が食道へ逆流して粘膜を刺激
胸やけの中心は胃酸の逆流です。夜遅い飲食の後に横になると、重力の助けが消え、逆流が起きやすくなります。 胸やけが繰り返す・長引く場合は、逆流性食道炎も参考にしてください。
飲み会続きの“負荷の正体”
- 量:飲む+食べるで摂取量が増える
- 質:脂が多い、刺激が強い、塩分が濃い
- 時間:夜遅い(就寝直前)
- 体勢:食後すぐ横になる(寝落ち)
- 回復不足:睡眠不足・脱水で翌日も崩れる
対策は「胃に良いものを足す」より前に、悪化因子を減らすが最重要です。
Q. 翌朝いちばんにやるべきことは?(最短回復の順番)
答え(結論→理由→補足)
結論:水分→胃の保護→消化の早い栄養の順で整えます。
理由:飲酒後は脱水や睡眠の質の低下が重なりやすく、刺激物で悪化しやすいからです。
補足:「一発で治す」より、悪化させない方が勝率が高いです。
朝のNG(やりがち)
- 空腹でコーヒーを流し込む
- 辛いスープ・脂っこいパンで“気合い”
- 迎え酒で誤魔化す
朝のOK(再現性が高い)
- 常温の水を少しずつ
- 合う人は乳製品を少量
- 固形が無理ならゼリーでエネルギー
Q. コンビニで買うなら何が正解?(症状別:ムカムカ/胸やけ/食欲ゼロ)
答え:迷ったら「3点セット」
①常温の水(または状況でスポーツドリンク)+ ②飲むヨーグルト(プレーン寄り)+ ③ゼリー飲料 or バナナ が、失敗しにくい組み合わせです。
症状別:こう選ぶと外しにくい
胃もたれ(重い/げっぷ/膨満感)
- 水分は「少しずつ」
- 固形を無理に入れず、ゼリーで様子見
- 昼に温かい麺・お粥へつなぐ
吐き気/食欲ゼロ(何も入らない)
- まず水分(常温)だけでもOK
- 落ち着いたらゼリー飲料を少量
- 無理なら“食べない”判断も可
「市販薬で様子見」の前に:黒い便・吐血、強い痛み、嘔吐が続く、胸やけが長引く場合は受診をご検討ください。
必要に応じて 胃カメラ(上部内視鏡) で原因確認が有用です。慢性胃炎が気になる方は ピロリ菌 も併せてご覧ください。
Q. 今日のランチ、何を選べばいい?(うどんが強い理由とNGランチ)
答え(結論→理由→補足)
結論:温かいうどんを中心に、卵や大根おろしで回復を後押し。
理由:脂質が多い食事ほど胃に残りやすく、午後の胃もたれ・胸やけ・眠気につながりやすいからです。
補足:「冷たい麺」「大盛り」「こってり」は今日は封印。
最適解:温かいうどん(+卵 / 大根おろし)
- 温かい汁:胃を冷やさず、食べやすい
- 卵:タンパク質を少量追加(重くなりにくい)
- 大根おろし:さっぱりして食べ過ぎを防ぎやすい
今日は避けたい:NGランチ(追い打ち)
- ラーメン(脂・塩分で胸やけが悪化しやすい)
- カレー(香辛料+脂質で刺激が強い)
- 揚げ物定食(消化に時間がかかり午後に響く)
Q. 今夜も飲み会…どう防御する?(事前準備・注文戦略・寝落ち対策)
答え(結論→理由→補足)
結論:乾杯前のワンクッション+チェイサー+寝落ち回避が最も効率的。
理由:胃への刺激と逆流の条件を減らすほど、翌朝に残りにくいからです。
補足:「何を飲むか」より「ペース・水・つまみ」が勝敗を決めます。
1)乾杯15分前:牛乳 or チーズで胃に“ワンクッション”
空腹の一気飲みを避けるだけで、翌朝が変わることがあります。
2)最初の注文テンプレ:枝豆・冷奴・刺身(脂少なめ)
最初から揚げ物にいくと、胃の負担が跳ね上がりやすいです。
3)チェイサー(同量の水)を“固定装備”に
「お酒1杯につき水1杯」をルール化すると、脱水も防ぎやすくなります。
4)寝落ちが最悪:帰宅後の“3分ルール”
帰宅後に「歯磨き」「着替え」「コップ1杯の水」を先に済ませるだけで、寝落ちダメージを減らせます。 夜間胸やけが強い方は 逆流性食道炎 のページも参考にしてください。
明日から困らない:飲み会が続く週の「胃腸マネジメント」
ポイントは3つだけ
- 遅い時間の食事を減らす(寝る直前は避ける)
- 脂を減らす(揚げ物・こってりを連日続けない)
- 水(チェイサー)を固定(脱水を防ぐ)
「昔から体質」と思っていても、逆流性食道炎などが背景にあることがあります。 生活対策で改善しない場合は、逆流性食道炎や、 必要に応じて胃カメラの検討も選択肢です。
これは危険信号?受診の目安(胃カメラを考えるタイミング)
すぐ相談したい症状
- 黒い便(タール便)、吐血が疑われる
- 強い腹痛が続く
- 飲み込みにくさ(つかえ感)がある
- 意図しない体重減少
- 嘔吐が続く、水分も取れない
- 胸やけが数日〜数週間続く
受診時に伝えると役立つ情報:開始時期/悪化するタイミング(食後・夜間)/黒い便の有無/体重変化/服薬状況/飲酒量。
よくあるQ&A(5つ)
Q1. 胃もたれと胸やけ、どっちが危険?
答え:胸やけが長引く/夜に悪化する/黒い便、飲み込みにくさ、体重減少がある場合は要注意です。必要に応じて胃カメラをご検討ください。
Q2. 迎え酒は“効く”って本当?
答え:おすすめしません。いったんラクに感じても、悪化や長期化につながることがあります。
Q3. スポーツドリンクは二日酔いに効く?
答え:水分補給としては役立ちますが、糖分が負担になることもあります。まずは常温の水を基本に。
Q4. 胃酸がつらいなら、食べない方がいい?
答え:完全な空腹がつらさを増やすこともあります。少量で消化のよいもの(ゼリー、温かいうどん等)を選びましょう。
Q5. 胸やけ対策で寝るときにできることは?
答え:寝る直前の飲食を避ける、上半身を少し上げる、寝落ちを防ぐなどが有効です。
トリビアQ&A(3つ)
Q1. 「右向き寝」は胸やけに不利って本当?
答え:体位で症状が変わる人はいます。夜間症状がある方は上半身を少し高くする工夫も。
Q2. コーヒーは絶対NG?
答え:個人差があります。今日は「刺激になりそうなら避ける」が安全策。飲むなら薄め・少量で。
Q3. お酒の種類で胃への負担は変わる?
答え:変わると感じる人は多いです。種類よりも、量・ペース・チェイサー・つまみが差を作ります。
まとめ:今日のチェックリスト(保存版)
朝(出社前・コンビニ)
- □ 常温の水を少しずつ
- □ 合う人は飲むヨーグルト(少量)
- □ ゼリー飲料/バナナで最低限のエネルギー
昼(外食でも選べる)
- □ 温かいうどん(卵・大根おろし)
- □ ラーメン・カレー・揚げ物は回避
- □ 食後すぐ横にならない
夜(飲み会を場を壊さず守る)
- □ 乾杯15分前:牛乳/チーズ
- □ チェイサー(同量の水)
- □ 寝落ち回避:帰宅後“3分ルール”
参考文献(一次資料)
- 胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン 2021(改訂第3版)
- ACG Clinical Guideline: Diagnosis and Management of Gastroesophageal Reflux Disease(2022)
- NIAAA(米国国立アルコール乱用・依存症研究所):Hangover(二日酔いに関するファクトシート)
発行日:2025年12月20日




