日常生活の中で胃もたれ、胸やけ、胃痛などを感じることは多くの方が経験します。一時的な症状であれば問題ないこともありますが、頻繁に繰り返される場合は注意が必要です。また、のどの詰まるような感じや喉の違和感といった症状は、一見すると胃とは無関係に思えるかもしれませんが、実は胃の病気が潜んでいることがよくあります。
消化器内科の診察では、以下のような症状を訴える患者さんが頻繁に訪れています。
- 胃もたれが続き、食事が進まない。
- 胸やけが頻繁で、市販薬では改善しない。
- 喉がつまるような感覚が続いている。
- 急に体重が減ってしまった。
- 定期的な胃痛があるが、ストレスと思い放置してしまっている。
- 飲み込みにくさを感じることがある。
こうした症状は、「逆流性食道炎」や「胃潰瘍」、さらには「胃がん」といった重大な疾患のサインかもしれません。特に日本はピロリ菌感染率が比較的高いため、胃がんの発症リスクが欧米諸国よりも高いとされています。
最近ニュースで頻繁に取り上げられるアニサキス感染症も無視できない問題です。アニサキスは生魚などに寄生している虫で、食後に激しい胃痛を引き起こします。胃の健康を守るためには、こうしたリスクを軽視せず、適切な対応が必要です。
症状が軽いうちは放置されがちですが、そのままにしていると病状が悪化し、治療が難しくなるケースも珍しくありません。多くの患者さんが「もっと早く検査を受けておけばよかった」と後悔しています。初期の段階でしっかりと原因を把握し、早期に適切な治療を受けることが非常に重要です。
このような胃や喉の症状を的確に診断する最も有効な方法が胃カメラ(内視鏡)検査です。胃カメラ検査では胃や食道、十二指腸の内部を直接観察できるため、病気の有無をはっきりと確認できます。特に胃がんは早期では自覚症状がほぼないため、定期的に検査を受けることが推奨されます。
胃カメラ検査は苦しいイメージがありますが、現在では鎮静剤を使用して苦痛を最小限に抑え、リラックスした状態で受けられるようになっています。時間も短く、忙しい方でも手軽に検査が可能です。
症状別:胃カメラ検査で発見可能な疾患
- 胃もたれ・食欲不振 胃の動きが弱くなり、消化がうまくいかない時に起きやすい症状です。長引く症状はピロリ菌感染による慢性胃炎や胃潰瘍の可能性があります。ピロリ菌は胃がんの主な原因となるため、検査を受け除菌治療を行うことが推奨されます。
- 胸やけ・のどのつまり・喉の違和感 胸やけや喉の異物感は、胃酸が食道に逆流する逆流性食道炎が原因のことが多く、放置すると食道の粘膜が変化し、がんになる可能性も高まります。胃カメラ検査で早期発見と治療が重要です。
- 体重減少・胃痛 理由なく体重が減ったり、繰り返し胃が痛む場合、胃潰瘍や胃がんの疑いがあります。胃がんは特に初期症状が乏しいため、定期的な胃カメラ検査で早期発見が非常に大切です。
- アニサキス感染症 アニサキスは魚介類に潜む寄生虫で、胃壁に刺さって激痛を起こします。胃カメラ検査で早期に原因を特定し、迅速な治療ができます。
まとめ 胃や喉の違和感は些細なものと思われがちですが、放置すれば重篤な病気に発展する可能性があります。胃カメラ検査は胃腸の病気を早期に発見できる最も効果的な方法です。症状が気になる方は早めに消化器内科を受診し、胃カメラ検査を受けることをお勧めします。