
ピロリ菌は症状でわかる?胃カメラなしの検査と、除菌後フォローまで“迷わない”完全ガイド
更新:2026-02-06 カテゴリ:胃の不調/ピロリ菌
執筆・監修:おきた内科クリニック(内視鏡検査・消化器診療に対応)
※本記事は一般的な医療情報です。診断・治療は必ず医師と相談してください。
【結論】ピロリ菌感染に“特有の症状”はありません。だからこそ「検査」と「リスク別フォロー」が最短ルートです
ピロリ菌(Helicobacter pylori)感染は、「これがあれば確実」という特有症状がありません。 胃もたれ・みぞおち痛・胸やけなどは他の病気でも起こるため、症状だけで見抜くことはできません。 感染の有無は、胃カメラをしなくても尿素呼気試験や便中抗原検査で確認できます。 そして大切なのは、除菌で胃がんリスクは下がる一方、ゼロにはならないこと。 特に萎縮性胃炎や腸上皮化生がある方・家族歴がある方は、除菌後も胃カメラによる定期フォローが重要です。
- 症状で判断せず、まず検査で白黒つける
- 陽性なら「除菌+除菌判定(治ったか確認)」までがワンセット
- 除菌後は“胃の状態(萎縮など)”でフォロー頻度を決める
1. ピロリ菌とは?(基礎)
ピロリ菌は、胃の粘膜表面(粘液層)に住みつくらせん状の細菌です。 胃は強い酸(胃酸)があるため本来は細菌が住みにくい環境ですが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を使って周囲を中和し、生き残ります。
「胃の調子が悪い=性格やストレスの問題」と片づけられていた時代がありました。 でも今は、原因が見える。検査で確認できる。除菌という手段がある。 ここが、現代医療の大きな前進です。
2. どれくらい多い?日本で中高年に多い理由
ピロリ菌は多くの場合、幼少期に感染が成立し、その後は自然に消えにくい特徴があります。 衛生環境の改善により、若い世代ほど感染が少なくなった一方、昔に感染した世代では感染率が高いまま残っている―― これが、日本の「中高年ほど多い」背景です。
ピロリ菌の感染経路や検査・除菌の流れは、ピロリ菌(検査と除菌)ページにまとめています。
3. ピロリ菌に特有な症状はある?(回答型)
Q. ピロリ菌感染に「これがあれば確実」という症状はありますか?
ありません。
理由:感染していても無症状が多く、症状が出るとしても胃炎・潰瘍など“起きた病気”の症状として現れるためです。
補足:みぞおちの痛み、胃もたれ、膨満感、吐き気、胸やけはピロリ菌でも起こりますが、他の病気でもよく見られます。
「よくあるが特有ではない」症状
- みぞおちの痛み・不快感
- 胃もたれ/食後の膨満感
- 胸やけ/げっぷが増える
- 吐き気
胸やけが中心の方は、ピロリ菌だけでなく逆流性食道炎も視野に入ります。 あわせて逆流性食道炎ページも確認すると、原因整理がスムーズです。
- 吐血、黒色便(タール便)
- 体重減少が続く
- 飲み込みにくい、つかえる
- 貧血を指摘された
- 強い腹痛が続く/夜間に目が覚める痛み
※これらはピロリ菌の有無に関わらず、早めに医療機関で評価が必要です。検診を待たず、まず受診を。
4. 放置すると何が起きる?関係する病気
Q. ピロリ菌は、どんな病気と関係しますか?
慢性胃炎(萎縮性胃炎)・胃潰瘍/十二指腸潰瘍・胃がん・MALTリンパ腫などと関連します。
長期感染が胃粘膜の慢性炎症を続け、粘膜変化(萎縮など)を進めることで、潰瘍や腫瘍の土台になり得るためです。
全員が重い病気になるわけではありませんが、「気づかぬまま長く感染が続く」ことが問題になります。
4-1. 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
潰瘍ができると、みぞおちの痛み、吐き気、出血(黒色便)などが起こります。 症状が強い・続く場合は、原因を“推測”で終わらせず、検査で確かめることが大切です。
4-2. 胃がん・MALTリンパ腫
「除菌で胃がんリスクは減らせる」一方で、「除菌してもゼロにはならない」―― だからこそ、除菌後のフォローが重要になります。
5. 胃カメラなしでわかる?検査の選び方
Q. 胃カメラをしなくてもピロリ菌は検査できますか?
できます。
理由:尿素呼気試験・便中抗原検査・血液(抗体)検査など、非侵襲(胃カメラ不要)の検査が確立しているからです。
補足:ただし“過去感染も陽性になりやすい検査”など弱点があるため、目的(今の感染?除菌判定?)に合わせて選びます。
| 検査 | 何がわかる? | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 尿素呼気試験(UBT) | 現在の感染を反映しやすい | 初回診断/除菌判定 | 胃酸を抑える薬などの影響を受けるため、事前調整が必要なことがある |
| 便中抗原検査 | 現在の感染を反映しやすい | 初回診断/除菌判定 | 薬の影響や、採便のタイミングに注意 |
| 血液(抗体)検査 | 感染歴(過去感染も含む)を拾いやすい | スクリーニング | 「治った後も陽性」になり得る/状況により他検査を併用 |
胃の状態(萎縮、潰瘍、ポリープなど)を直接見て評価できるのは 胃カメラ(上部内視鏡)です。 「ピロリがいるか」だけでなく、「胃の粘膜が今どうなっているか」まで含めて、次の一手が決まります。
6. 除菌の流れ:治療より大切な“除菌判定”
Q. 除菌は「薬を飲んで終わり」ではないのですか?
終わりではありません。
理由:除菌が成功したかどうかで、その後のリスク管理(再治療の要否、フォロー設計)が変わるからです。
補足:除菌後に「本当に治ったか」を確認する検査(除菌判定)までがワンセットです。
- 検査で「感染あり」を確認
- 医師と相談して除菌治療
- 治療後4週以降を目安に、呼気または便で除菌判定
- 胃の状態に応じて、胃カメラでフォロー計画を立てる
※内服薬によって検査結果に影響が出る場合があります。検査前は自己判断で調整せず、必ず医師へ確認を。
7. 除菌後、胃カメラは必要?(核心)
Q. 除菌したら、もう胃カメラをしなくても大丈夫?
「人によります」が正確な答えです。ただし“リスクが高い人ほど必要性が高い”のは確実です。
理由:除菌で胃がんリスクは低下しますが、萎縮など“すでに起きた粘膜変化”がある場合、リスクが残り得るためです。
補足:除菌後のフォローは「年齢」だけでなく、「胃の状態(所見)」で決めるのが合理的です。
7-1. 除菌後も胃カメラフォローを強く考えたい人
- 除菌前の胃カメラで、萎縮性胃炎などを指摘された
- 家族(特に一親等)に胃がんの方がいる
- 過去に胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療歴がある
- 中高年以降で除菌した(感染期間が長い可能性がある)
胃カメラの流れ・鎮静・検査後の注意点は 胃カメラページへ。
8. フォローの目安:誰が、どれくらいの頻度で?
フォロー頻度は「年齢」だけでなく、胃粘膜の状態(萎縮の程度など)と家族歴で決めます。 ここを雑にすると、「やりすぎ」か「放置」のどちらかになり、不安だけが残ります。
- リスクが高い(萎縮が強い、家族歴あり等):内視鏡で定期フォロー(目安:数年ごと、状況により1〜2年)
- リスクが相対的に低い:検診推奨(例:50歳以上は2年に1回)を軸に、所見・症状で調整
※実際の間隔は、内視鏡所見・病理結果・合併症・内服薬などで変わります。
9. よくある誤解:血液検査が陰性なら安心?
Q. ピロリ抗体が陰性なら、感染していないと考えていい?
一概には言えません。
理由:状況によっては、抗体だけでは判断が難しいケースがあり得るためです。
補足:「今の感染を知りたい」「除菌できたか知りたい」など目的に応じて、呼気・便検査や胃カメラを組み合わせるのが安全です。
10. 今日からの行動チェックリスト
- 胃もたれ・みぞおち痛・胸やけが続く → 原因整理(必要なら胃カメラ)
- ピロリ菌が気になる → ピロリ菌ページで検査方法を確認
- 陽性なら → 除菌+必ず除菌判定
- 除菌後は → 胃の状態(萎縮など)と家族歴でフォロー計画
- 便潜血陽性や大腸症状がある → 大腸カメラも検討
11. よくあるQ&A(5つ)
Q1. ピロリ菌検査はいつ受けるべき?
胃の不調が続く、潰瘍の既往がある、家族に胃がんがいるなどは検討価値が高いです。 迷うなら、まずはWEB予約から相談してください。
Q2. 検査前に薬を止める必要はありますか?
あります(ケースがあります)。 胃酸を抑える薬などは検査に影響することがあります。検査予約時に必ず確認してください。
Q3. 除菌したら再感染しますか?
ゼロではありませんが、成人では頻繁ではありません。 ただし「再感染」より先に、まずは除菌判定で「残っていないか」を確認することが実務上大切です。
Q4. 除菌で胃がんは防げますか?
リスクは下げられますが、ゼロにはなりません。 特に萎縮が強い場合は、除菌後も胃カメラの計画が安心につながります。
Q5. 家族がピロリ陽性でした。自分も検査した方がいい?
同居家族で幼少期の環境が近い場合は、検討価値があります。 詳細はピロリ菌ページでも解説しています。
12. トリビアQ&A(3つ)
トリビア1:ピロリ菌は、なぜ胃酸で死なないの?
ウレアーゼで周囲を中和するという生存戦略があるからです。
トリビア2:ピロリ菌はいつ感染しやすい?
多くは幼少期に感染が成立しやすいとされます。
トリビア3:胃もたれの原因はピロリ菌だけ?
いいえ。 逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、薬剤、生活習慣など原因は幅広いです。 胸やけが強い方は逆流性食道炎もチェックを。
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参考文献(一次資料)
※本文の一般論は、ガイドライン・公的機関・査読付き論文等に基づきます。医療情報は更新されるため、最新情報は医師へご相談ください。
- 日本ヘリコバクター学会:H. pylori感染の診断と治療のガイドライン(案内)
- 国立がん研究センター がん情報サービス:胃がん検診(対象年齢・受診間隔)
- ESGE(MAPS II):胃前がん病変の内視鏡サーベイランスに関する指針
- ACG Clinical Guideline:H. pylori治療・除菌判定(test of cure)の重要性
免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状・既往・年齢・内服薬により最適な検査やフォローは異なります。気になる症状がある場合は医療機関へご相談ください。




